こんにちは、「ゆう」です。
CDがが売れなくなった!と数年前から嘆きを聞きますよね。「YouTubeや違法ダウンロードで聞けるようになったからCDが売れなくなった」そして、「CDを買わないことは作り手のアーティストの価値を愚弄する行為だ」と。これ、実は、とんでもないカンチガイ!!
まず、こういう人は、残念ながら、アーティストなどの新しものを生み出す人、つまり「クリエイター」の本当の価値がわかっていません。そして、人の本音もわかってない。私は売れないミュージシャンをやっていたからこそ、クリエイターとしての立場、彼らの価値のある場所が分かります。そして、お客様のことを考えるマーケティングを研究しているから、人の本音も徹底調査しています。(その結果、自分がミュージシャンとして売れなかった理由もわかります 泣)
今の立場で思うのは、「CDが売れなくなった」と嘆くよりも「CDを売らなくて良くなった」と喜ぶ人が成功する。
そういう時代だということです。あなたの業界もにも「今まで売れてたものが売れなくなった」「通用しなくなった」というものもあるのでは?ぜひ置き換えながらなぜチャンスなのか想像してみてくださいね!
さて、どういうことか詳しく説明していきます!
今は、「モノ消費」でも「コト消費」でもなく「トキ消費」の時代
その時、その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費のこと
まず、現在の価値観というものを考えていきましょう。今の時代は「トキ消費」というように言われる時代になってきました。この「トキ消費」という言葉は、博報堂生活総合研究所がいち早く提唱した言葉で、今まで言われ続けてきた「モノではなくコトを売れ」という表現では説明できないものが増えてきたために使うようになったとされています。
ではそもそもモノ消費、コト消費とは何でしょうか?
「モノ消費」・・・モノが足りなかった時代は、とにかく持つことがステータスだった。
とにかくモノがなかった時代は、新しいモノを作れば売れた時代がありました。売れた、というと語弊がありますが、モノを持つことがステータスとされていた時代があったわけですね。具体的に言えば、テレビが出始めた頃、テレビを持っていたのはお金持ちの家でした。ですが、今ではテレビは一家に一台どころか、一部屋に一台持てる時代です。それは、冷蔵庫やゲーム、車、なども
しかし、どんどんモノが溢れ、「テレビ」「車」というだけで、みんなが憧れ「手に入れたい!」と思う時代は終りを迎えます。誰でも「モノを持てる時代」に必要になった価値観が「コト消費」です。
「コト消費」・・・持っているのは当たり前!そのものを使ってどんなライフスタイルを送るか?
モノが溢れ、価格競争と技術の進歩により、モノの価格が下がりました。そして、さらに、クレジットカードやキャッシング、ショッピングローンなどの認知が高まることで、「一般庶民でも背伸びすれば高級品が買える」という時代になりました。つまり、モノに対する価値も価格も下がってきたのです。
そして、消費者の関心は「手に入れた後の便利な生活」「豊かなライフスタイル」にシフトしていきます。つまり、買った商品やサービスを通じてどのような「体験」を得られるのか?どのような「変化や結果」が得られるのか?ということが大切になってきました。
ただの「テレビ」では足りず「画質も音質も良いテレビなどによる、臨場感あふれる映像を楽しめる」。ただの「車」ではなく、「家族みんなでキャンプに行ける、ワンボックスカー」というような未来像を売る表現になってきました。
「モノより思い出」「お金で買えない価値がある」などは「モノではなく、コトを売る」という時代を象徴するキャッチコピーですね。
そして、今の時代でも十分に「コト消費」の価値観は生きています。しかし、より時代を反省する言葉として、「トキ消費」という表現が生まれてきたのです。
「トキ消費」・・・濃いリアルな体験こそが価値になる時代
トキ消費はコト消費と何が違うのか?わかりやすいところで言えば、リアル体験か疑似体験か、ということです。
スマホの普及や手軽に行えるライブ配信、AI、VR、音響や映像のハイグレード化などの技術革新により、「どこにいても」高品質な疑似体験ができるようになってきました。
極端な例を上げれば、アーティストのライブをスマホで楽しむことができます。ビルとビルを綱渡りする恐怖をVRで体験することができます。そうやって、どこにいても疑似体験ができる時代になったので、逆に言えば、「わざわざその場所に行かなくても楽しめる」とも言える時代になりました。
だからこそ、逆に言えば、「リアル体験」に「疑似体験では味わえない価値」を求める消費者が増えているのです。
つまり、せっかく味わうならば「濃いリアル体験」をしたい。というニーズが増えたのです。
なので、情報も溢れて疑似体験がどんどん増え、あらゆる価値や価格が下る一方で、「せっかく買うなら良いものを」と高級な商品や体験などにお金を払う人が増えている、という二極化が進んでいるのです。
例えば、テレビが、高画質高音質、広い画面となって映画も楽しめる時代だからこそ、IMAXやDOLBY ATMOSなど、「映画館でしか決して味わえない体験」を付加して、一般のチケット価格よりも高くして販売しているのも「トキ消費」の1つですね。
さて、コト消費やトキ消費と言われている中で、CDという「モノ」はどんな立ち位置にあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
CDの役割は「無料配信」に置き換わった。
冒頭で「CDを買わないことは作り手のアーティストの価値を愚弄する行為だ」という人がたまにいますが、これはとんでもないカンチガイということをいいました。しかし、このモノ消費ではなく、トキ消費だ!という時代だからこその、価値観で考えると、「CDは役割を終えたのだ」ということがわかります。
CDの「目的」は、「収入」ではない。
まず、アーティストの本懐、それは「世の中に自分の作品が広まり、みんなの生活に自分の生み出したものが溶け込んでいくこと」です。そして、1人でも多くの人がその作品に触れることで、豊かな感情を手に入れること。これがまず一番なんですね。そして、CDというものは、アーティストにとっては、露出認知のためのツールであって収入源ではない。もちろん売れれば、利益は発生しますが、それを売ることが目的ではないのです。
アーティスト側からすれば、「CD売らなくて良くなった」といえる時代。
むしろ私は、「CDを売らなくて良くなった」と喜ぶ時代だと考えています。CDを売ること、テレビやラジオに出ることでしか、露出できなかった時代ではなくなり、YouTubeなどで、自由に配信ができるようになったことで、一気に広まり、本当に支えてくれる濃いファンにいち早く出会えるようになったのだから。
つまり、CDが担っていた役割を「ほぼ無料で」行える時代になった、ということです。
「自分の作品の権利」にこだわる器の小さいクリエイターも、「CDが売れなくなってどうのこうの」とか、蚊帳の外から言っているファンでも、なんでもない人には見えてなくても、プロデューサーやプロモーターは、そういうことを一所懸命考えて、クリエイター達を育てているんですよ。
「情報」だけなら無料で提供するような時代
確かに、一つのパッケージとなり形になっているので、CDは宝物の要素を持っていることも間違いではありませんが、
・曲が聞ける
・歌詞が読める
というだけの価値であれば、「無料で提供する時代」なのです。
確かに、作ったものが全て無料になってしまったら、活動していけませんが、YouTubeなどのでプロモーション用に無料で聞けたり、しますし、楽曲も定額聴き放題になっていますよね。無駄な制作費をかけなくて良くなったと、大喜びする時代ですよ。時代の変化を嘆いても何も始まりません。プラスに捉えれば、見えてくる世界は変わります。
更に、もう少し「無料からはじまる価値」について掘り下げていきますよ!
『無料配信&コピー』から生まれたビッグな業界〜今の時代の価値の作られ方は「与えること」が先〜
コピーされることは本物である証明
ここまで話してもまだ、「その人が一生懸命作った命の結晶を無料で提供するなんておかしい!!」
という人がいるかもしれませんが、ちゃんとビジネスモデルを作れるならば、プロデュースする視点からすれば
- 無料配布大歓迎
- コピー大歓迎
です!
というか、それくらい器が広くないと、そもそも、広まらないし、そして、本当の価値に気付いてもらえもしないです。
変なエゴが、逆に価値を下げているのです。無料配信&コピーから生まれたビッグな業界があります。
一人の配信者から国民的な歌、更には多くのメディアミックスを実現した「千本桜」
元々は「黒うさP」さんが作詞・作曲・編曲し、ニコニコ動画に無料で公開したことが始まりです。そこから4年ほどでTOYOTAのCMに使われたり、舞台、小説、漫画などが生まれ、小林幸子さんが歌うまでに至るわけです。
どんな経緯だったのか?
無料だから起こる、流行の渦
それらニコ動アーティストの力も掛け算となり、「○○さんバージョン、かっこいい!」「だけど、本家も好き」などと、黒うさPさんへのリスペクトはなくなること無く、どんどんと広まっていきました。
「千本桜」だけではありません。黒うさPさんのスタイルを実現可能した背景にもう一つ、業界の革命があります。
楽曲制作業界が生んだ画期的な発明
それが、VOCALOID2「初音ミク」の誕生です。パソコンで自宅で楽曲制作を楽しむ人の問題は、「歌がなかなか機械では再現できない」という悩みでした。更に言えばクリエイターが男性だと「女性用の歌なのに、歌い手が見つからない」という問題もありました。
その救世主となったのが初音ミクなのです。実はVOCALOID、つまり人間の代わりに機械に歌わせるソフト自体は、初音ミクよりも前からあったのですが、(男版はカイト・女版はメイコ)キャラ設定が弱く、全く売れませんでした。
初音ミクという、自宅録音しているオタク男子達を熱狂させるアイドル的なキャラデザにしたことで、受け入れられていったのです。この「初音ミクに自由に自分が作った曲を歌わせたい」というクリエイター達の欲求が次々とハイクオリティな作品を世に生み出し、コピーされ広がり、「ボカロ」という一つの音楽ジャンルを築き上げました。話は戻りますが、もし、広めることに対しての権利の障壁ばかりだったら、どうなっていたでしょうか?
もちろん、何度もいいますがオリジナルを作った黒うさPさんへのリスペクトが消えることはありません。
世界的ファッションブランドのシャネルの創業者ココ・シャネルさんがこんなことを言っています。
「本物はコピーされる運命にある。」と。
コピーされることは、本物の証明なんですよ。
ここから個人事業主やクリエイターが学べることは
・利益を得たければ与えることが先
・権利には甘く、広まることを優先する。
・ただし、自分が本物である証明はし続けること
そして、起業家の場合は、自身がビジネスオーナーでもあるので、
・先の収益モデルもキチンと考えておくこと
も大事ですね!
CDが売れなくなったことから発展してきましたが、次は、CDが売れなくなったことを喜ぶ人が成功する2つ目の理由をお話していきます!
『CDが売れない』と嘆く人は、今も初期型携帯電話を使うのか?
人は便利なものに流れる。時代が変われば、価値観は変わるもの。
「CDを買わないことは作り手のアーティストの価値を愚弄する行為だ」という人がたまにいますが、これは
とんでもないカンチガイです!
という話をしてきました。
1つはCDは「露出認知のツールなので、売り上げを目的としていない」というお話でした。今回は2つ目、「人の本音がわかってない。」というお話。
本音は「便利な方がいい」
「CDがなんやかんや…」という人は、人の本音が全くわかっていません。ここであなたに聞きたいのですが、普段音楽はどうやって聞いてますか?多くの人が、ポータブルMP3プレイヤーか、もしくは、スマートフォンじゃないですか?(私は世代的にMDがドンピシャだったので、MDどこいった?とも思っています。)
確かに、家ではCDコンポで聞くという方もいるかもしれませんが、圧倒的にデータとして保有するニーズが増えています。ファンでも、CD買って、曲自体はパソコンに入れて、CDは大切に宝物のように保管しているだけの人も多いはずです。
今はCDそのものには、ファンの「コレクションしたい」という欲求を満たす別の目的はありますが、役割で考えたらただの荷物でしか無いんです。残酷に聞こえるかもしれませんが、それが世の中の本音です。更に言うと、私はMac Book Airを使っていて、CDドライブがなく、CDから曲を取り込むのが、外付けのCDドライブを使わなくてはいけないので、めんどくさすぎます!
凄い端的に言うと、残念ながら、
「CDは時代遅れ」なんです!!
時代のニーズにマッチしていない。。。だから、売れない。
時代遅れは不便なので淘汰される。
「CDがなんやかんや」と言う人がもしいたら、こう聞いてみましょう。
「ならあなたは、今の時代に初期型携帯電話使いたいと思う?」と
…不便すぎて、使いたい人はいないですよね^^;
人は便利なものを使いたいのです。それは私だってあなただって同じ。それを考えたならば、CDが売れないのは、当然の時代の流れです。
それに、「CD=クリエイターの価値」では、ないのです。そうやって結びつけてしまう人の方が、クリエイターの価値を軽視していると私は考えています。ミュージシャン以外のクリエイターや個人事業主も同じです。これからの時代にマッチした商品でなければ、「面倒くさい」に負けてしまいます!どんなにいいものでも、その本音に負けないものにする必要が有ることを忘れずに!
トキ消費の時代だからこそ売れる「モノ」もある
アーティストの収入の大部分は濃いファンの支えにあり!
CDで稼いでいない、という話でしたが、では何処で収入を得るのか?気になりますよね。実は収入源は昔から変わってないのです。それは、「濃いファンとの交流」です。ファンクラブ会費であり、物販であり、そして何よりも、「ライブ」です。
いつの時代もライブやそれに付随した活動の中で利益が生まれます。つまり、昔からアーティストは「トキ消費」の恩恵を受けています。(余談ですが、ライブなどのパフォーマンスができないタイプのアートは、パトロン(出資者)という文化が支えてきました。)
つまり、何がいいたいかと言うと、一部の濃いファンに支えられているのです!
CDが何百万に売れるよりも、熱狂的なファンが数百人から数千人(あるいはパトロンが1人から数人)いてくれれば、成り立つのがクリエイターやアーティストの本来あるべき姿なのです。
80:20の法則にみる、アーティストの収入源
「80:20の法則」とか「パレートの法則」という言葉を聞いたことありますか?これは、「顧客全体の2割が売上の8割をあげているという法則 」のことです。つまり、一部の熱狂的なファンが、利益のほとんどをまかなってくれている。ということですね。
「熱狂的ファン=信者」の行動をイメージしてみよう
熱狂的なファンつまり、信者と言われる人の行動をイメージしてみてください。CDは必ず予約します。店によって予約特典が違うならば、色んな所で予約します。そして、初回盤と通常盤やジャケットのタイプが異なれば、全てをコンプリートします。さらに言えば、観賞用として未開封で保存しておくものをもう1セットずつ買います。ツアーも何箇所も参戦し、グッズも全種類購入。これも未開封で保存しておくものをもう1セット買います。
想像して見るだけで、熱狂的なファンは、年に1回、ライブツアーが行われることで、数十万〜数百万円をアーティストに払うのです。
信者の所持したい欲求に「必要性」は関係ない
そしてこれは、CDが「音楽を聴く」役割としては必要なくなった今でも変わらず続きます。信者にとって、CDは聴くためのものではなく、缶バッジなどのグッズと同じで、そのアーティストの象徴なのです。持っているだけで価値なのです。
アーティスト以外のクリエイターもまた一部の濃いファンに支えてもらえるビジネスモデルを。
そして、これはアート以外のクリエイターや個人事業主も同じ。一部の濃いファンによって支えられているし、逆に言えば、その人達に全力を尽くすことが大切なことです。そうなるために、私はこのような形での集客を推奨しています。
露出・認知→共感・信頼→教育→契約
詳しく見ていきましょう。
露出することで認知してもらう
露出はとにかく、「人の目にとまるところにでる」ということ。具体的には、街を歩いていて目に留まる看板や配っているチラシなどの広告は全て露出活動です。もちろんアナログなものだけでなく、ウェブ上でのお金払って行うのも露出活動です。また、FacebookやTwitterなどのSNSで宣伝したり、YouTubeやニコニコ動画に動画を投稿するのも、立派な露出活動です。ただし、露出しただけでは意味がなく、「認知」してもらう事が必要です。
例えば、あなたが今日見た看板や電車の中吊り広告などで、はっきり覚えているものはありますか?確かに目に入ったとしても「記憶に残っているか?」と聞かれると、意外と覚えていないものですよね。だから覚えてもらう必要があるのです。
露出認知は、このように、広告という有料の手段だけでなく、SNSやYouTubeのように無料で行える手段があります。
そして、認知し、能動的に「詳しく調べよう」と思ったりして、メディアに踏み込んでいきます。
共感し、信頼してもらう
自分のメディア、つまり、ホームページやブログ、チャンネルなどその人の情報が集まった場所へ踏み込んでいきます。
そうすることで、世界観やメッセージに触れ、共感した場合、さらなる情報を手に入れるために、メルマガ登録やチャンネル登録、フォローなどを行います。
そして、情報を受け取り、「この人は信頼できる!」と感じるようになっていきます。
さらに、継続的に情報を受け取ることでさらなる変化が起こります。
教育し、契約してもらう
毎日情報を受け取るようになり、生活に一部になることで、消費者の価値観に入り込んでいきます。そのようにして教育された消費者や、ファンクラブ会員などのバックエンドを契約し、熱狂的な信者になっていきます。
アーティストも基本的にはこれと同じ。
- テレビ出演やCM、ラジオやYouTubeで耳に入り、(露出・認知)
- サイトやミュージックアプリ、AmazonやCDショップでシングルを買い、聴く(共感・信頼)
- アルバムを買い何度も聴き、そのアルバムのツアーに行く。ついでにグッズを買ったり、ファンクラブに参加したりする(教育・契約)
一昔前の起業家で言えば、CDは本の出版と同じです。本は一、二冊出版したところでその収入では食えませんから。
今は本を出さなくても「無料小冊子」などを広めていく手段があります。
なので、「CDが売れなくてどうのこうの」っていうのは、「FacebookやYouTubeを有料にしろ」と言っているのと同じなのです。
トキ消費という時代へ移り変わり、どのようなモノが売れなくなり、どのようなモノが売れ続けるのか?そういうコトがわかってくると、あなたが売れるトキがやってきます。