今は売れなくなったCDの売り方から、個人経営でも役立つお話を今回はしていきましょう!
こんにちは、「ゆう」です。
私の記事でも、何度も取り上げている「カサネテク」という動画。
【ビジネスマンも必見の秘訣】合コンだけじゃない!カサネテクは人付き合いで大切なテクニック満載!?〜重ねドルチェの戦略〜
雪印メグミルクのスイーツである「重ねドルチェ」のプロモーションとして作られたものですが、その合コン指南的な内容が反響をよび、約半年たった時点でYouTube動画は880万回再生にもなっています。
そして、それだけでなく、この「カサネテク」という曲配信ではリリースされていたのですが、ついにCD化までされました。
このカサネテクを歌うシンガーの中村千尋さんのミニアルバムに収録されました。
「話題になってCD化する」
以前からこういうことはありましたが、もしCDを出したいならば今の時代この流れこそがまっとうだなと感じます。
なぜ、そう思うのか? ということを話していきましょう。
なぜ、今の時代CDは売れないのか?
数十年前、CDといえば、有名なシンガーならば100万枚(ミリオン)が一つの目標となっている時代がありました。
人気があることが前提ですが、「出せば売れる」そんな時代がありました。
しかし、今はどんなに人気がある人でもどんなにファンが多くても「出しても売れない」時代です。
かつての大物歌姫ですら初動2,950枚しか売れない……。
例えば、工藤静香さんは、おニャン子クラブからソロデビューし、バカ売れの時代もあった大物シンガーです。
しかし、歌手活動再開で出したCDがオリコンによると「初動2,950枚」だったそうです。1万枚にも満たないのです。
工藤静香さんは全盛期、1993年「慟哭」という曲で約94万枚の大ヒットを叩き出した歌姫です。
もちろん、今回の2,950枚の結果は本人のブームがさったとかプロモーションが甘かったとかあるでしょう。
(実際に大ヒットした「慟哭」は月9ドラマの主題歌だったのも手伝っています)
売れるにしろ、売れないにしろ理由は複合的なものです。
もうCDは「必要がない」
ですが、間違いなく言えることが、「もうCDを必要としていない」ということが最大の理由です。
つまり、「音の記録媒体」としてCDというモノを売っても必要ないし、欲しくもないのです。
CDというモノはわざわざ買わない。
そんな時代だから、「歌手=CDを出す」という単純な方程式は成り立たないのです。
CDは必要ない上に、制作すれば在庫リスクが有る。
CDは物質なので、もし作りすぎてしまうと、大量に在庫が余ることになります。
昔は、CDを作ってそれをプロモーションのツールとしていました。
しかし、今はプロモーションは無料でテストできる時代です。
SNSやブログ、YouTubeなどで、無料で配信できる時代です。
無料でテストできる時代なので、予め無料や安価、原価のほとんどかからないデータで楽しめるコンテンツで多くの人に露出し、楽しんでもらい認知され、「ある程度の人数が買ってくれるのでは?」と見込める段階でCD(あるいはファンが欲しがるもの)を販売する。
という、無料や超安価のステップを踏むことが主流となりました。
CDはだけでなく、書籍やセミナーなどでも同じことが起きている
本を出版するにも紙という物体を売る前に、「電子書籍」という形で売ることもできますし、セミナーや講義だって、場所を予約してリアルで行う前に、動画やオンライン通話、無料PDFデータなどで無料で体験してもらうことができます。
実際に、電子書籍が紙の書籍化されたり、無料でブログで配信されていた個人の小説が、書籍化されたりする例もありますよね。
このように、売れるかわからないものをお金を払って用意する前に、いくらでも無料で広めていくことができます。
大きなプロモーションに乗っかって知名度を上げるのもウィン・ウィンの戦略
冒頭でお話した「カサネテク」は、企業のプロモーション戦略というものに乗ってはいます。
しかし、歌手の中村千尋さんや動画の主演の「る鹿」さんにとっては無料で、(むしろ出演料をもらいながら……?)自分を知ってもらう事ができたわけです。
そのうえ、企業も若手なのでおそらくかなり安いギャラで、プロモーションを作ることができたはずです。
つまり、双方にとって嬉しいことなので、ウィン・ウィンですよね。
今の時代は無料でもテストできることがたくさんあります。それはどんなビジネスも同じことです。
ムダにお金をかける前に、どうやってテストができるかをまず考えてみてくださいね(^^)
CDの売れない時代に見る、CD化のセオリーですね。
そして、CDは「必要がない」のになぜ売られ続けるのでしょうか?
それについてここから話していきます。
売られ続けるのは「必要性」だけが理由ではない
ここまではCD(モノ)が売れない今の時代は、まずは無料や安価でテストできるものでテストしよう。
ある程度のお客様が見込めるようになってから必要以上にお金のかかることはしよう、ということを話しました。
具体的に言えば、音楽の場合は、YouTubeなどの無料動画視聴サイトで、ファンを沢山増やして売れる目処がたってからCDの販売をする、ということです。
しかし、そもそもなぜ今の時代にCDをわざわざ売るのでしょうか? その理由について紐解いていきます。
音楽はデータでパソコンやスマホで聞ける時代
改めてCDの「必要性」について考えていきましょう。
あなたも自分の普段の生活をイメージしてみてください。
具体的な話をしていきましょう。
私の家には、CDコンポがありません。
持ち歩く用のCDウォークマンもありません。「CDで音楽を聞く」という行動自体をしなくなっています。
ですが、私は音楽を聞くことは大好きです。
どうやって音楽を聞いているかというと仮にCDを持っていても、「パソコンにデータを取り入れてパソコンやスマホで聞く」という行動をします。
今の時代にみるCDのデメリットを考えてみましょう。
かさばるし壊れやすい割には情報量が少ない
CDは1枚に10数曲しか入っていない割にはかさばるし、ケースが割れたり、傷がついたりすることもあるので、わざわざCDを持ち歩いて聞いたりコンポで聞くことはありません。
CDを聞ける状態を作りにくい
更に言うと私が使っているMac Book AirはCDドライブがついていないので、
- CD
- 外付けCDドライブ
- MacBook Air
- 場所によってはイヤホン
の4つが必要です。
これかなり「メンドクサイ」のです。
結果的に、「音楽を聞くための道具」としての「CD」はもう売れないのです。
CDである必要が無いのです。
必要ないはずのニーズは3者によって支えられている。
商品が本来の役割を終えた。つまり、CDはニーズ(必要性)がなくなったのです。
にもかかわらず、なぜ、CDはなくならないのでしょう?
これは
- ミュージシャンのモノ作り願望と名刺代わり……ミュージシャン
- 制作過程に必要な企業の存続のため……制作会社
- 買う側の収集願望とモノへの信頼……ファン
と言うような理由があり、3者によって支えられているのです。
形あるCDはミュージシャンの名刺代わり
まず1つ目。
ミュージシャンは楽曲というカタチのないものを作ったら、カタチのあるCDなどにしたいものです。
そのため自己マンでCDを作っている、アマチュアミュージシャンは山ほどいます。
「とりあえずCD作ろう」と考えるわけですね。
(私もアマチュアバンドマンだったので気持ちは痛いほどわかります。)
もちろん、「ちゃんとしたCDを出している」というのは、我々コンサルタントなどと同じように、無形のものを売っている業界で言えば「本を出版している」という名刺代わりの役割があります。
しかし、そもそもわけわからない人に本人のCDや本を一方的に渡されて、聞いたりするか?知らないセミナー講師の書籍を読んだりするか?ということを考えてほしいですね。
ぶっちゃけ、かさばるので、本当にいらないです。
形があっても認知がなければ、すぐ捨てられる名刺と同じ
「この人といえば◯◯」
というような認知があってはじめて「試しに聞いてみたい(読んでみたい)かも」と欲が芽生えるものです。
なので、使い方によっては強力な名刺代わりになりますが、使い方を間違えるとウザい売り込みになるわけです。
ものづくりには、制作でお金を稼ぐ方たちがいる
理由2つ目の「制作過程に必要な企業の存続のため」とはどういうことかというと、
CDには、楽曲作り(作曲や録音)だけでなく、
- CDのディスクを作る会社
- 歌詞カードを印刷・製作をする会社
- ケースを作る会社
- CDショップに流通させる会社
などなど様々な会社が協力することで作られています。
そこに人が介在する限り、いきなりはなくせない
CDである必要がなくなり、データだけのリリースになってしまった場合、こういう会社の役割を奪うことになります。
役割を奪うということは仕事を失うということ
いわゆる「大人の事情」ですね。(深刻な話です)
一説によると、スチール缶の飲料がなくならないのも、スチール缶の製造業者の延命措置だと聞いたことがあります。
ニーズ的には、アルミ缶で十分なんですよね。(これについて追伸で詳しく話します)
とはいえ、時代が変わったからといって、イキナリそれをなくすわけにもいかない。
リストラだって、大きなニュースになるんです。社会がそれを許さないのです。
CDで「聞く」は必要なくなっても、CDを制作する仕事に就く人がいる限り(その人達にとって)必要なのです。
いつの時代も「モノ」を集めたがるのがファンやコレクター
そして、最後3つ目の理由は、「買う側の収集願望」です。
ファンであれば、缶バッジとかタオルとか、そのアーティストのグッズを買いますよね?
高かろうが、必要なかろうが関係ないのです。
それは「使うため」というよりも、好きな人に関するものを「所有したい」「コレクションしたい」という気持ちがあるからです。
また、どんなに「データ」という目の見えないもののやり取りが主流になってきても、形あるものモノに対しての信頼感は今でも大きいです。
※ 余談ですが、私自身、書籍は、一向に紙派です。いくら電子書籍の方が安くても、読み放題でも、どこにでも持ち歩けても、書籍は紙じゃないと嫌なんです。(ちなみに、電子媒体は学習効率も落ちます)
お客様はデータじゃダメなんです。モノが欲しいんですよ。
ニーズ(必要性)がなくなっても、ウォンツ(欲求)がある限りなくならない。
このような3者の理由からCDで「聞く」ニーズがなくなっても、他のニーズや「欲しい!」と言う「欲求(ウォンツ)」がある限り、完全になくなることはないのです。
逆に言えば、本来の必要性がなくなっても別の価値を付け足すことで、まだまだ「売ることができる」ということです。
価値の創造にはニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)の両方が大事なので、自分の商品・サービスには、どんな価値があるのかもう一度確認してみてくださいね。
CDはなくなり、レコードが再燃
ちょっと余談なのですが、音楽のウォンツ繋がりで。
レコードが再燃しています。CDは衰退しているのに、レコードは再燃……? なぜでしょうか?
それは、CD=デジタル、レコード=アナログという大きな仕組みの違いがあります。
ここでは、あまり詳しくは書きませんが、アナログのほうが、ライブの空気感や臨場感も収録されるので、「音がいい」のです。
どこでも安価に、手軽に音楽が聞ける、ジャンキーな音楽消費が流行る一方で、もっと良い音質で、最上級の環境で音楽を楽しみたい、という音楽鑑賞にも最上級の欲求が生まれているのです。
ものや情報があふれる豊かな時代ならではの欲求ですね。
追伸:スチール缶がなくならない理由
「衛生面」というスチール缶のニーズ(必要性)がなくなった
缶の飲み物の容器の素材はスチール缶とアルミ缶の2種類ありますが、「スチール缶」はほとんど見なくなりましたね。
特に「缶コーヒー」はスチール缶のイメージですね。そもそも、スチール缶を使っていたのは「衛生面」の理由があったようです。
アルミ缶だと菌の繁殖が外側から気づかない。
スチール缶だと菌が繁殖した時に膨張するから傍目で分かる。
そんな衛生面の理由から、スチール缶が使われていましたが製造工程などの見直しにより、アルミ缶でも大丈夫になってきました。
アルミ缶の方が加工しやすく、リサイクルしやすいので、どんどんアルミ缶になってきたというのが実際のところです。
スチール缶業者を守るためにスチール缶は消えない
しかし、スチール缶からアルミ缶に全てが切り替わらない理由にもやはり、「スチール缶を製造している会社のため」と言うものがあります。
いくらニーズがなくなっていてもそこに人がいる限りはそんな簡単には仕事をなくせないものですね。
AIが急速に進化しても、そこに人がいる限りすぐには仕事はなくならない
ちなみに、私の母親が今やっている仕事は(缶業者ではないですが…)2020年になくなります。と5年前から予告されていました。
理由は同じ。もう「必要ない」から。機械ができてしまうんです。
それだけ、多くの人の人生に関わることは今すぐは動かないのですよね。
ただ、すぐにはなくならなくても、増えることもないので、新しく採用されることはないですね。
生まれるニーズがあればなくなるニーズがある。
これを常に頭に入れておかなくてはならないですね。
だからこそ、新しいニーズを、新しいウォンツを生み出せる能力を手に入れていってくださいね!