- 1 当時の「僕ら」をターゲットにしたペルソナ・マーケティング
- 1.1 なぜ、ポケモンはここまでヒットしたのか?
- 1.2 幻のポケモン:ミュウはプログラマーのちょっとしたいたずらごころから生まれた
- 1.3 ヒットしたら広めなきゃ損!ポケモンのリ・ポジショニング戦略
- 1.4 20年選ばれ続けた先の「リポジショニング」がある
- 1.5 「最初の軸」があったからこそここまで展開できたことを忘れずに
当時の「僕ら」をターゲットにしたペルソナ・マーケティング
こんにちは、「ゆう」です。
今や国民いや世界的人気のゲームとなった「ポケットモンスター」
このゲームの初代が発売されたのは
1996年
わたしは当時、小学校中学年の時
出典:ポケットモンスター公式サイト
まさにドンピシャどストライクの
ターゲット層でポケモンと出会いました。
それから20年以上、
ポケモンは愛され続けているのです。
そんなポケモンシリーズに
2017年11月に
ウルトラムーン・ウルトラサン
出典:ポケットモンスター公式サイト
という新作がでると6月6日正式に発表されましたので、
改めて「ポケモンが選ばれ続ける理由」を
検証していきたいと思います。
今や世界に誇れる日本初の人気作品ですね。
※ここでは、
ゲームに関する攻略やレビューなどは
一切書きませんのでご了承ください。
なぜ、ポケモンはここまでヒットしたのか?
難易度低くやりこみ要素の高い「モンスター育成型RPG」
世界でも人気となり、
20年以上も続くような
ヒット作品になるまでに至ったこのゲームですが、
そもそもポケモンとは
どんなゲームなのでしょうか?
一言で言えば、
小さい子でも楽しめるほどに難易度が低く、
しかし、やりこみ要素の高い「モンスター育成RPG」です。
ではそんなゲームが、
「選ばれた理由」は何だったのでしょうか?
当時の正にドハマリした
私が体験したことからお話していきましょう。
理由1:主人公が10歳で名前も自由につけられるというペルソナ設定
ポケットモンスターの主人公は
10歳の少年です。
※左が主人公、右が同じ待ちに住むライバル
この世界では、10歳になると
「ポケモントレーナー」として
ポケモンと共に冒険の旅にでます。
RPGの金字塔「ドラゴンクエスト」の主人公同様
名前も自由に選ぶことができ、
意思を持って会話をすることがありません。
※RPGにはちゃんとキャラ設定がされているゲームと、
名前すら決まっていない(主人公はあなた自身)
とするゲームに分かれます。
自分の名前をつけたりする人もいて、
主人公=ゲームの世界に入った自分
という気持ちになりながらゲームをするのでした。
また、 同じ出身の街に同じ歳のライバルがいて、
常に一歩先を行くライバルと
冒険の途中で何度も戦うことになります。
冒険にはライバルがつきものですよね。
ここらへんも10歳男子の心を鷲掴みでした。
何か商品を創るときは
その商品の理想のお客様
「ペルソナ」を決めることが必須ですが、
ゲームの設定と同じ「10歳の少年」が
ドンピシャの世代だったのでしょう。
▶ペルソナについて詳しくは別記事で
数シリーズ後からは、
主人公で女の子も
選べるようになりました。
イラストも愛着が湧くような
デザインになっていますね。
ですが、初代ポケモンは
「10歳の男の子」から
始まっていることがポイントです。
理由2:強さだけじゃない!ゴールはポケモンマスター。
ポケモントレーナーとして旅立つ主人公は、
ポケモンを育てながら、
各町の「ジムリーダー」と戦いバッジを集めます。
出典:http://www.nicozon.net/watch/sm16839768
そして、バッジをすべて集めたものだけが挑める、
チャンピオンロードへ行き、
四天王と呼ばれるポケモントレーナーの頂点と戦い、
全員を倒すと「殿堂入り」となって、
ゲームクリアとなります。
ポケモンバトルは
例えば、
草タイプのポケモンは
炎タイプのポケモンに弱かったりと、
じゃんけんのように
得意不得意があります。
難しいことは考えず、
ポケモンを強く育てれば
得意不得意関係なく
力で押すこともできますが、
たった6体しか連れて
歩くことができないポケモンを
その得意不得意を考えながら選ぶ。
シンプルながら、
とても戦略的なゲームでした。
しかし、四天王を倒すことは
ゲームの通過点でしかありません。
これは本当のゲームクリアへの
始まりに過ぎないのです。
理由:3やりこみ度要素MAX!!150匹のポケモン全種類コンプリート!
このゲームの本来の目的は「強くなること」にあらず。
この世界に生息する150種類のポケモンを捕まえて
図鑑を完成されること!でした。
しかし、これはまったくもって簡単じゃない。
その理由が色々とありました。
このゲームは友達との「通信交換」という
システムありきでゲームが作られています。
その為、ある意味理不尽な機能が備わっていました。
そもそもこの世界に生息していない「別世界のポケモン」
このゲームは発売当初から2つで1つのゲームとして販売されました。
ただのカラーバリエーションではありません。
そもそも「出て来るポケモンの種類」が何種か違うのです。
※ストーリーに違いはありません。
なので、赤にしか出ないポケモンがいれば、
緑にしか出ないポケモンもいました。
友達と通信交換で進化する「通信進化ポケモン」
ポケモンの中には「進化するタイプ」のものもいて、
普通はレベルが上がれば勝手に進化しますが、
なぜか友達と「交換」しないと進化しないタイプの
ポケモンもいました。
自分で選べるのは1択のみ「2択、3択ポケモン」
交換だけにとどまらず、ゲーム内で選択肢があり、
3つのうちから1つとか、
2つのうちから1つ選ばなければならない、
というのもありました。
例えばこのイーブイという愛くるしいポケモン
ゲーム内で1匹しか手に入りません。
出典:matome.naver.jp
進化させることができるのですが、
なんと3択のから選ばなければならないのです。
出典:ポケモン情報ネット
1匹しか手にはいらないのに、3択…鬼のようなシステムです。
世界にたった1匹しかいない「伝説のポケモン」
伝説のポケモンという、
ゲーム内に1匹しかいない強いポケモンがいます。
上で紹介したイーブイなんかは「もらえる」ので
1匹でも確実に手に入るのですが、
伝説のポケモンは自分で捕まえないといけません。
そして、これがやたら難しい!
倒してしまったらもう一生手に入らない…
何度もリセットして戦う寸前から
やり直したのを覚えています。
出典:NAVERまとめ
これらの理由から、本当のゴールである、
150種類のポケモンコンプリートが
非常に難しかったのです。
しかし、このある種の「強引な」システムは
思わぬメリットとデメリットを生みました。
理由:4 携帯ゲーム機で交換・バトルありきだから広がる友達の輪
- 自分の持っている色では手に入らないポケモンがいる…
- 交換しないと進化しないポケモンがいる…
- 自分の選択肢では手に入らないポケモンがいる…
- 取り逃したポケモンがいる…
こういう半ば強引なシステムのおかげで、
「友達と協力するのが当たり前」というモノが確立されました。
従来のケータイゲーム機は、
小さな画面で1人で楽しむことが主流だったのですが、
携帯ゲームならではの、
持ち運べる利点を大いに活かして、
公園にも、友達の家にも、
公共施設にも、
ゲームボーイをもっていって
友達と協力してポケモンを集めました。
出典:オフィシャルサイト
また、交換だけでなく、友達とのバトルも白熱しました。
テレビ番組の「64マリオスタジアム」という
一般人参加型のゲーム番組もはやり、
そこでもポケモンバトルを繰り広げていました。
ときには仲間同士協力してポケモンを集めたり、
ときには良きライバルとして戦ったり、
10歳の男の子が社会性を育まれていくのでした。
理由:5 雑誌や口コミで広がる「幻のポケモン」という都市伝説
当時はまだ、インターネットは全然主流ではありませんでした。
携帯電話も一部の大人が持つものだったので、
情報源は
テレビ番組や雑誌、攻略本、そして、「口コミ」でした。
そして、その口コミでとある噂話が
急速に広まっていきました。
151匹目の幻のポケモン「ミュウ」がいる。
トイレの花子さんや口裂け女などの
学校の怪談が好きな小学生ですから、
この幻のポケモンの「噂」に
火がつかないわけがありません。
この口コミもまたポケモンをヒットさせた
立役者となりました。
幻のポケモン:ミュウはプログラマーのちょっとしたいたずらごころから生まれた
実はこの幻のポケモン。
存在自体が開発者も発売元の任天堂も知らされていたなかったのです。
(入れようかどうか話はしてあったらしい。)
仕上げの段階で少しだけ容量に空きができたので、
プログラマーの方がこっそり入れたそうなのです。
そのため、
ゲームには一切登場はしないけど、
プログラム上では存在する幻のポケモン
というモノが生まれました。
それを、
雑誌の付録などで「プレゼント」などの
キャンペーンをつかい
ヒットは加速していきました。
ヒットしたら広めなきゃ損!ポケモンのリ・ポジショニング戦略
友達と一緒になって楽しめる、
唯一無二のモンスター育成型RPGという今までにない、
ポジションを獲得したポケモンは
次々と横展開をしていきます。
マーケティングの戦略で「リ・ポジショニング」
と言うものがあります。
これはあるヒットした商品の人・モノ・場所などを
変えて新たなブームを創るものです。
それぞれの戦略を打ってどんどん広げていきました。
リ・ポジショニング「モノ」〜カードゲームのヒット〜
ポケモンという概念も対象も変えずに「モノを変える」ことで新たな商品を作りました。
それが「ポケモンカード」でした。
携帯ゲームからカードゲームへの「リ・ポジショニング」
これも当時10歳だった私たちはこぞって集めてバトルしました。
ゲームは学校には持ち込めないけど、
カードは持っていっても良かったので、
学校で遊んだりもしました。
しかし、盗難があったり、学業に支障が出るとかで
持ち込み禁止になった記憶があります。
※余談ですが、カードゲームが人気になり、
ガードゲームのゲームボーイソフトが
発売されるという逆輸入も起きました。
他にも、フィギュアや、お菓子、文房具などへの
リポジショニングも当たり前のように起こりましたね。
リ・ポジショニング「人」〜女子向けにヒット〜
リ・ポジショニングで人を変える、と言うのは「売る対象」を変えることです。
ゲーム自体は10歳男の子向けに発売されましたが、
多種多様なポケモンのグッズなどを展開し、女子も取り込んでいきました。
※ぬいぐるみやあらゆるグッズがでました。
販売当初のピカチュウは結構ぶーちゃんなのですが、
時を重ねてだいぶ可愛らしさを増しました。
※こう比べると全然違いますよね。
女子ウケもヒットしたことで、主人公が女の子も選べるようになったのです。(前述)
リ・ポジショニング「場所」〜テレビやショップの誕生〜
リポジショニングの場所は「売る場所」つまり業界や露出する場所を変えるということです。
ゲーム(おもちゃ)業界から別の業界への変えることで、興味を持つ層を一気に広めます。
単なる携帯ゲームを一気に世界的な作品におしあげたのは「テレビアニメ」の力が大きいですよね。
アニメ化されたことで、
主題歌や、その他の商品も沢山出ていきました。
また、ポケモングッズ専門店「ポケモンセンター」もできました。
ポケモンセンターのヨコハマ店
ちなみにヨコハマのみなとみらいは、夏になると、
ピカチュウ大量のイベントをやっています。
20年選ばれ続けた先の「リポジショニング」がある
さて、このようにして、
選ばれ続け多くの人に愛されてきたポケモンですが、
当時、ゲームをやっていた私たちは大人になり、
流石にもうゲームはやっていません。
時代が経ったからこそできる、もう一つの「人」のリポジショニングがあります。
「転生」と「再生」のリポジショニング
時代が経ったからこそできるリポジショニングは2つあります。
- 1つは当時、ターゲット世代だった人に向けて作り直す「再生」
- そしてもう1つは、今ターゲットの世代向けに作り直す「転生」
です。
当時10歳、今の30歳でも欲しがる商品「再生」
2016年大旋風を巻き起こした「ポケモンGO」は
記憶に残っている方も多いのではないでしょうか?
これは正に「ポケモン」を
大人でも楽しめる
スマートフォンアプリに「再生」した典型例です。
また、これだけでなく、
1996年の頃のゲームが、
最新のゲーム機種で「復刻」などもされています。
当時を懐かしんでまた手をだす人もいるでしょうね。
「新作」は常に同じターゲットへ当てる「転生」
冒頭でお話した、2017年11月に出る新作。
もちろん今までも沢山の新作が出てきました。
これらのシリーズは、
常に「今の時代の10歳の少年」を
ペルソナとして作られています。
「再生」も「転生」もある意味「ブレないターゲット設定」です。
「10歳の少年」という対象は変わっていないのですが、
「10歳の少年」というカテゴリーに焦点を当て続けるのが転生で
「1996年の時の10歳の少年だった人」に焦点を当てて置い続けるのが再生で
どちらもマーケティングとしては正解なのです。
「最初の軸」があったからこそここまで展開できたことを忘れずに
さて、ここまでみてきた
ポケモンシリーズヒットの理由ですが、
ありとあらゆるリポジショニングを
繰り返して20年間選ばれ続けています。
これは「色んな所に手を出せばいい
」という事を言いたいのではなく、
伝えたいことは真逆で、
ポケモンが携帯ゲームとして、
当時10歳の男の子を
めちゃくちゃ楽しませたからこそ、
今があるです。
ターゲットとなるペルソナをしっかりと設定して
その人がよろこぶUSPを創り、
その人達に徹底的に露出して喜ばせていく。
これが、ヒットの原理原則なのです。
このようなヒットする商品を生み出したいならば、
まずは「お客様目線」を身につけることから始めよう!
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